ヴェールドマン仮説|西尾維新|記念すべき100冊目!軽快で残酷なミステリー

ヴェールドマン仮説

西尾維新さん100冊目となる小説「ヴェールドマン仮説」。

祖母は法医学者、祖父は推理作家、弁護士の母に検事の父を持ち、刑事のお兄ちゃん、ニュースキャスターのお姉ちゃん、探偵役者の弟にVR探偵の妹に囲まれた生活を送る吹奏野家のぼく。そんな探偵一家の家事担当のぼくが、思いがけず、いや、そんな家庭であるがゆえに、連続殺人事件に首を突っ込み、真相を推理していく物語。

西尾維新さん特有の言葉遊びが楽しく、内容的にはむごい事件も出てくるのですが、するするとスピーディに読めます。名探偵でもないごく普通の人間である「ぼく」が一家の力を借りながら、奔走する様子がとってもハラハラドキドキ楽しいお話です。

あらすじ

世間に転がる複数の冤罪、未解決事件の犯人は実は同一人物の仕業なのではないか。そう考えたのはニュースキャスターでありぼくのおねえちゃんである霧霞(きりか)でした。

霧霞と霧霞率いる独自の取材班と吹奏野家の人々は、その連続殺人犯(仮)を、「ヴェールドマン」と名付け、呼ぶことになりました。イタリアの彫刻家、コッラディーニが掘ったヴェールを被った女性たちの像を敬意を込めて「ヴェールドウーマン」と呼ぶらしく、連続殺人犯が布を使った殺人に並々ならぬ執着を見せることから、侮蔑を込めての「ヴェールドマン」だそう。

なかなか洒落た名前をつけるな、おねえちゃんと思いましたが、それゆえに犯人の狂気的な部分を象徴しているようで、かなり気味が悪いですね…。

「一連の事件は彼の仕業なのか」の検証、すなわち、「ヴェールドマン仮説」を検証するため、「ぼく」はかなり頑張っちゃいます。無銭でいや本当に頑張りすぎだ…。

そのように霧霞に頼まれ、家事の合間に独自調査することになったぼくは、うそをついて事業聴取をしたり、少女の命を救ったり、無残な死体に直面したり、訳も分からず殺されそうになったりしながら、次第に事件の手法や被害者の共通点を浮き彫りにしてゆくのです。そこで最終的にあきらかになった意外な犯人とは? そしてヴェールドマンが殺人を犯し続けた理由とは?

感想

西尾維新さんの忘却探偵シリーズが好きで、同じくミステリーということでこちらもすぐに手に取りました。まず、家系が魅力的な設定すぎます。

探偵に憧れるけれど、実際そんな危険なことはしたくないし、名探偵なんていうのは現実世界にはいない(はず)なので、フィクションの世界で探偵と推理していくワトソン役のような気分になるしかなかった私ですが、今回は自分も名探偵になれるのでは、と錯覚しました。(紛れもない錯覚です(笑))

というのも、なんと、一家の家事担当の普通(ではないか..)の人間である「ぼく」が主人公だということで、なんとなく従来より自分に近しい感じがして、いつも以上にハラハラドキドキしてしまいました。

そして、刑事のおにいちゃんのだるーい感じでさらっと言うセリフが的を得ていてドキリとしたり、弁護士の母が被害者に日々向き合っている彼女しか分からないような視点で事件に意見を申したり、と一家の皆がなかなかに面白いキャラなので、そこに身を置いた気分になれるのも魅力ですね。

そんな面白おかしい家族とのやりとりでクスクスと笑って気を緩めていると、犯人の内面の告白が間にふと出てきてピリッと引き締められるので、笑いもスリルもある、でもさらっと読めちゃう西尾維新さんらしいお話だと感じました。

「我々を増やしたかった」

犯人の真意って何だったんでしょうね。軽快な話なのにむごい社会の闇が垣間見えます。

続編はまだ出るかどうか分からないということですが、探偵一家のそれぞれが活躍する展開をさらに期待して、心待ちにしています。まだまだ吹奏野家の周りには事件が潜んでいるはず…! 西尾維新さん記念すべき100冊目の著書、ぜひ読んじゃってくださいね!

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