世にも奇妙な君物語|朝井リョウ|オチがすごい!

世にも奇妙な君物語

朝井リョウさんが大好きだという「世にも奇妙な物語」を自らの短編小説で表現したいと思い、実現したこの小説。

朝井リョウさんというと青春小説というイメージが強いですが、この短編小説は、独特の世界観とオチにびっくりというまさに朝井リョウが贈る「世にも奇妙な物語」なんです。

「世にも奇妙な物語」は、二時間で5作放送されるのに習い、この短編も5作となっています。

感想

正直な感想を申し上げますと、「めちゃくちゃ面白かった!」(笑)ああ、面白かった…。思わずため息がもれます(笑)これは絶対に一気読み!

この非日常的な世界観、ミステリー好きにはたまらない、色とりどりのオチがある設定、最終話で思わぬ繋がりが現れる巧妙さ、世の中を朝井さんらしい軽快なタッチで風刺した内容、5編の中にぶるっと振るえる怖さも、ほろっと涙の流れる感動も、爆笑が止まらないユーモアも詰まった欲張りさ。なんて満足感のある作品なんでしょうか。

では、作品ごとに感想をご紹介します。

「シェアハウさない」では、シェアハウスに関する特集を担当することになった駆け出しのライター、浩子が、ある偶然をきっかけに、あるシェアハウスへの取材に成功します。しかし、そこの住民たちにはある秘密がありました。オチにぶるっと震えるミステリー好きがすきそうな展開でした。この短さでこの持って行き方は本当にすごい。

「リア充裁判」は、コミュニケーション能力が、国民全員が持つべき重要スキルであり、「リア充裁判」に無作為に選ばれ、召集された人間はそのスキルを試す試験に合格しなければならないという一番現実離れした世界観を持つお話です。

SNSで自分がリア充であることを誇示する写真をあげ、薄っぺらい口先だけで広く浅い人間関係を築き、周りに流されていく人々を風刺したような内容で面白かったです。よく考えたら、友達なんていない、って思う瞬間や、そう思いたくないから自分の信念を曲げて浅い人間関係をなあなあに続けて消耗するときが多くの人にあると思うし、実は相手と対話できていない「コミュニケーション」を推進する世の中の圧力に息苦しさを感じることがあるのではないでしょうか。

世の中は自分の信念だけ貫いていたら上手くは生きてゆけないけれども、それでも強く生きる主人公が印象的なお話でした。

「立て!金次郎」では、幼稚園で働く幸次郎が、子供の自由を制限してしまう教育方針に納得いかず、それぞれの子供たちがそれぞれが輝ける場所を見つけていこうと奮闘するお話です。

運動会での名場面に涙がほろり、最後のオチにクスり。最後まで油断のならない爽快感のあるお話です。

「13.5文字しか集中して読めな」は、ネットニュースのライターとして働き、まだ幼い男の子の母でもある香織が、自らの誤解を招くようなニュース配信や家庭でのあらぬ疑いをきっかけに、仕事でも家庭でも自分が信じてきた、愛してきたものを失ってしまう、これも現代社会を風刺するようなお話です。

オチがかなり辛辣で、グサグサととげが突き刺さってきました(笑)

「脇役バトルロワイヤル」は、いつも脇役ばかりしている役者たちが、ある有名演出家の作品の主役のオーディションの最終選考に招集されるお話です。

これが、めちゃくちゃ爆笑もの(笑)オチも面白いし、今までの話が緩やかに繋がっています。最後にこれをもってくるあたり、うますぎる。

朝井さんはあとがきで、また書いてみたいということをお話していたので、次の朝井版「世にも奇妙な物語」が出ることを心待ちにしています。ぐんぐんはまる短編を読みたい方、ぜひお手にとってみてください!

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