星降り山荘の殺人|倉知淳|どんでん返しミステリー

星降り山荘の殺人

倉知淳さんの代表作の一つ「星降り山荘の殺人」。文庫本でも結構分厚いですし、何となくタイトルからして、こわい!難しそう!という印象を受ける方も多いかもしれません。しかし、ユーモラスな筆致でとても読みやすく、密室殺人という王道のミステリー要素も強いので、ミステリー初心者や普段推理小説をあまり読まない方にもおすすめの作品です!

最後のどんでん返しまで、主人公と一緒に推理していくのも面白く、ミステリー好きにももちろん強く勧められる小説となっています。

あらすじ

勤めていた広告代理店でのある不祥事がきっかけで、全く違う部署への事実上の左遷を命じられてしまう主人公、杉下。彼の新しい仕事は自称“スターウォッチャー”星園詩郎のマネージャー見習いであった…! 杉下はそんな星園と共に雪深い山奥の山荘へ一泊二日の出張へ行くことに。そこには彼らだけでなく、ぶりっ子の女子大生、UFO研究家、有名女流作家とその助手など様々な人々がいました。

その“星降り山荘”で起こる突然の殺人事件。完全に人里離れた山奥の密閉された空間で起こったという事実が物語るのは、犯人は“ここにいる誰か”であるということ…!今隣にいるこの人が狂気の殺人犯かもしれない。緊迫した状況の中で、杉下はワトソン役として、“名探偵”と共に推理をしてゆくのだが…。華麗な推理の裏に隠された衝撃の事実。最後の最後でどんでん返しの新しい本格ミステリー。

こんな方にオススメ

「くそ、騙された!」といういい意味での快感を味わいたい方へ。

皆さんも私と一緒に騙されませんか?(笑)どんでん返しミステリーが好きな方にオススメです!何なんでしょうね、あの裏切られる爽快感は!(笑)

この言葉にビビっと

”和夫は早速新しい仕事に出かける
そこで本編の探偵役が登場する
探偵役が事件に介入するのは無論偶然であり
事件の犯人では有り得ない”

上記のように著者が読者に向かって、章の始めのような位置付けで、何度か説明を加えるのですが、これがなかなかに物語のキーをついていて面白いのです。「何、ヒントくれちゃってー!」なんて最初思ったのですが(すみません笑)、いやー、まんまとですよ、まんまと…。

感想

「くそ、絶対に騙されないぞ、私は!こいつはきっと裏の顔を持っている…。」「これは大事な伏線だ。きっと今の結論を覆すに違いない!」とワトソン君になったつもりで、必死で探偵気取りで推理をしていた私ですが、見事に騙されてしまいましたねっ!(笑)「うわー!そういうことか!」と、やはり私の推理力の甘さに、恥ずかしくなりました(笑)そして、驚きの結末に、大きな快感を覚えました。

最初、タイトルを見たときには、山奥での密室での殺人事件か、型にはまった本格ミステリーで、堅苦しくて、面白くないのでは?などと失礼ながら思ってしまったわけですが、読み始めから、「あー!すみません!これはめちゃくちゃ面白いやつです!」と心の中で謝罪せずにはいられませんでした。それくらい、ワトソン君の語りは親しみやすく、エンターテイメント要素も詰まったミステリー初心者も入りやすい小説なのです。それでいて、散りばめられた伏線から論理的に華麗に真相を紐解いてゆく様は、まさに本格ミステリー。心を躍らせて最後まで楽しませていただきました。

そして、個人的には、早い段階から名探偵には謎が分かっていて、それを立証できる準備が整ってから、華麗に推理し、読者を驚かせる、というスタイルではなく、伏線はそこかしこに散りばめられているにも関わらず、謎が最後の最後まで誰にも分からないという点や、ゆっくりとワトソン君と謎解きをしてゆき、ようやく推理のお披露目であるという穏やかさを持ってして、最後にまさかの展開を起こす点、犯人の動機からではなく行動や物的条件のみから推理してゆくという点が新しく感じました。(私がミステリー経験不足ですので、本当はもっと多くのスタイルがあると思うのですが、それでも今挙げたようなことがとても新鮮に感じられたのです!)

倉知淳さんの代表作の一つ「星降り山荘の殺人」。時代を経てもなお色あせない物語。いい意味で「騙された!」と爽快感を味わいたい方。ぜひ読んでみませんか?

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