2020本屋大賞受賞作品、凪良ゆうさんの「流浪の月」。幼いころから世の中の当たり前や普通と思われている価値観に疑問を抱く主人公、更紗。そして、その引っかかりは婚約者、亮くんとの生活の中でも現れていきます。アルバイト先の人々と訪れた深夜だけオープンする隠れ家のようなカフェで、かつて幸せな日々を共にした文という男性と再会します。そこから二人は年月を超え、また関わり始めてゆき…。更紗と文にしか分からない世界。恋愛とも違う。でも一緒にいたい。最後には二人のこれからが気になってしょうがくなってしまう、そんなお話です。
私は凪良ゆうさんの世界観にどっぷりハマって一気読みしてしまいました。「繊細な心を持つ優しいあなたに」オススメです。
心に刺さる名言
「せっかくの善意をわたしは捨てていく。
そんなものでは、わたしはかけらも救われない。
愛ではない。けれどそばにいたい。」
感想
更紗の言葉に何度も共感し、反芻しました。真実はいつも違う。私たちにしか分からない真実を勝手に解釈して、いらない優しさでねじ曲げて。
更紗と亮くんや職場の人々、世間とのすれ違った会話。「違う、私が言いたいのはそういうことではない、、。」という気持ち。
結ばれてはいけない人、一緒にいてはいけない人、と誰もが文と更紗のことを思う。でも、その世間の冷酷な優しさやしがらみに二人はまったく救われない。だから、二人はこれからはずっと共に。
一度読み出したら止まらず一気読みです。ゆっくりと体に染み込んでゆく言葉の数々。繊細な感情を、苦悩をするすると紡ぎだしてくれる小説。余韻..!皆さんに読んでほしいです!
感情移入しすぎ注意な圧巻の物語の展開と筆致でした。
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