猫丸先輩の推測|倉知淳|日常に潜む謎をゆるーい猫丸先輩がきりっと推測!

猫丸先輩の推測

ミステリ好きもミステリ初心者もきっとハマる

本作はまるーいお目目にふっさりとした前髪がチャームポイントの神出鬼没の不思議な男、猫丸先輩が、日常に潜む謎を華麗に推測しちゃうお話です。短編六話から構成されており、どれもクスっと笑えるキャラクターたちのやり取りがとっても愉快です。

私は最初に読んだ倉知淳さんの本が「星降り山荘の殺人」だったので、この雰囲気の違いに驚かされました!あの作品を読んだ時は、雪山の山荘でのクローズドサークルというTHE本格ミステリーという印象と度肝を抜かれたどんでん返しに痺れたという印象でしたので、猫丸先生という自由奔放な愛されキャラ?が殺人とかとは全くかけ離れた日常の謎を推理というか独自の観点で妄想?する愉快なお話を読んで、こんなにも違う作風のものが書けるのか!と驚きました。

もちろん、どっちもとっても面白いですが、本作は、「ミステリーって怖いし論理だらけで疲れそうだし」という方や心が和むような小説を読むことが多い方、ミステリー初心者の方にもおすすめできる作品です。

しかし、本格ミステリ好きには物足りないのでは?と思った方もいるのでは?そんなことはありません。「星降り山荘の殺人」との共通点として一つはキャラクターたちがとってもファニーで会話に茶目っ気があるところが挙げられると思うのですが、二つ目として、やっぱり、「うわ、こんな見方もあったのか」と読者をあっと驚かせてくれる視点で種あかしをする点があります。「猫丸先輩シリーズ」は謎こそ日常に潜むライトなものだけれど、着眼点が鋭くって毎回驚かされるんですよね。だから、ミステリー好きにももちろんオススメできる作品なんです。

簡単なあらすじ紹介

「夜届く」では、「家火災、至急連絡されたし。」なんていう気味の悪い電報が突然繰り返し届くようになる理由を思いがけない発想で先輩が教えてくれます。思いやりの心がある人ならこの謎が解けるかも!?

「桜の森の七分咲きの下」では、新入社員の役目として、お花見の場所取りをしていたところに、次々に怪しい男たちが来て、手を変え品を変え声を掛けてくるお話。一見したら、うんざりして終わっちゃう瞬間も、見方を変えればワクワクに変わります。

「失踪当時の肉球は」は、ペット探偵が猫探しに手こずるお話。この話は、猫丸先輩の推測ももちろん面白いのですが、なにより、このペット探偵の真面目すぎるゆえにお茶目になっちゃうキャラが可愛いです。たくさん笑わせてもらいました。

「たわしと真夏とスパイ」は、ある商店街の縁日で、次々に地味な嫌がらせが起こる謎を猫丸先輩が解決!これも彼の推測が傑作でした。そして、商店街の雰囲気がとっても好きでした。

「カラスに動物園」では、盗んだものを持たずに逃走した万引き犯の手口を解き明かす!「動物園」という場所で起こったということに注目です。

「クリスマスの猫丸」は最後の締めくくり。“誰かが妙なことをしていると目立つが、誰もが一目で納得できることをしている人は目立たない”って確かになあ~。というかこういうクリスマスも悪くないな~と思いました。

終わりに

生きていると、何だか自分の人生ってなんてつまらないんだろうって失望することもありますよね。そんなときは猫丸先輩みたいに楽しく生きてみませんか。

「見方を変えさえすれば、何だって面白くなる。せっかく目の前に愉快なことが転がっているのに、退屈したりいらいらするなんて、損じゃないかよ」

って猫丸先輩に怒られちゃいます。どうせなら猫丸先輩みたいに、楽しいこと、面白いことを見つけたり、妄想したりして、気楽に愉快な人生にしたいですね。うん、そうしよう(笑)

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