レベル7|宮部みゆき|「レベル7まで行ったら戻れない」その言葉に秘められた衝撃の真実

レベル7

この物語は、一見別の話にも思える男女の記憶喪失と少女の失踪事件という2つの軸で進む話が次第に繋がりを見せ、ある一つの黒幕へと最終的に迫っていくサスペンス&ミステリーです。ぎゅっと濃縮された4日間の彼らの冒険譚にハラハラドキドキ間違いなしです。

あらすじ

ある日、2人の男女は記憶喪失をした状態で、マンションの一室で目を覚ましました。ここはどこなのか。自分たちは誰なのか。なぜここにいるのか。何も分からず、戸惑う2人。少ない手掛かりから自分たちの正体を見つける旅に出ます。部屋で見つかった5000万円が詰まったスーツケース、血で濡れたタオル、そして拳銃と腕に刻まれた謎の文字「Level 7」。彼らは危険な事件に巻き込まれているのか、それとも過去に大きな罪を犯して逃走しているのか、それとも…?隣人であり、どこか常人とかは違う雰囲気を纏う40代の男、三枝と、「自分たちの正体を探し出す代わりに、5000万円を折半する」という契約を結んで、一つずつ謎を解いていきます。東京の東端から西へ、そして、仙台、房総半島の潟戸町へと舞台を移しながら、次第に分かってくる悲しい過去を恐るべき現実とは。

一方、今度は東京の西部の街、吉祥寺に住むカウンセラー、悦子とその小学生の娘、ゆかりは、失踪した高校生の少女、みさおを懸命に探しています。みさおが手帳に残した文字「Level 7まで行ってみる 戻れない?」の意味を考えあぐねつつも、粘り強い聞き込み調査を続ける中で彼女の居場所と、彼女が巻き込まれている闇に包まれた事件の存在が浮かび上がってきます。悦子はみさおを無事に救うことができるのか。

 

4日間という短い時間にぎゅっと詰まったサスペンス&ミステリーでありながら、人間の弱さや信頼関係構築や愛情の注ぎ方の難しさ、複雑さに向き合いながらも、じんわりと心が温まる登場人物たちの触れ合いを通して描かれる人間ドラマの側面も持ち合わせた宮部みゆきさんの魅力たっぷりの小説です。

感想

謎だらけの設定が興味をそそる

いやはやめちゃくちゃ面白かった!記憶を失った状態で見知らぬ部屋ですごく怪しい状況で目を覚ます男女二人という謎に包まれた物語の始まり方にまずワクワクします。見るもの、聞くものから過去が少しずつフラッシュバックして、真相の欠片が断片的に散りばめられているものの、なかなか黒幕に辿り着けないもどかしさと、早く次を知りたい!というスピーディな展開が堪らなく面白いです。2つの軸がいくつかのキーワードや重なる情景を通してだんだんと繋がっていく快感もありました!文庫本700ページを超える大作ながら、読む手が止まりませんでした。

ミステリーとしてのストーリー性の卓越さとハートフルな会話の両立した話!

実際にある事件がモチーフになっている社会派ミステリーという側面で世に訴えかけるものもあり、そこも魅力の一つではあるのですが、やっぱり先に述べた迫力あるストーリー性と登場人物たちのさりげない会話の中にある優しさや温もりが宮部みゆきさんの小説の良さであると感じます。思い事件を題材にしたミステリーなのにこんなにハートフルってすごい。ほんとに。

特に、みさおが抱える友達との人間関係の築き方の悩みや他人から見た自分への自信のなさがすごく共感できるし、自分とはなんなのか分からなくなってどんどん深みにハマっていくところもすごく分かるなーと思いました。そんなみさおに接する悦子とゆかりの言葉はとっても身に染みてほっとするのです。

 

ドキリとする場面がたくさん。ハラハラドキドキの冒険譚、「レベル7」!ぜひ読んでみてください。

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