七月に流れる花/八月は冷たい城|恩田陸|夏のお城とみどりおとこの秘密を探るダークファンタジー

七月に流れる花/八月は冷たい城

七月に流れる花

夏流という街に最近引っ越して来た少女は、美術の時間に「夏の人を描いてください」という課題を与えられます。少女は漠然とひまわり畑にいる麦わら帽子の少女を想像して描きましたが、周りの子たちが描いていたのは皆同じ絵で、全身緑色の奇妙な男なのでした。少女がその「みどりおとこ」の存在について尋ねると、その地域の人々は皆その存在を知っているはずなのに、どこか避けなければならない話題であるかのように、はぐらかしたり、口をつぐんだりしてしまいます。

そして、終業式の帰りの日。少女は誰かにつけられていると感じます。その姿を見てはっとします。皆の絵の中の「みどりおとこ」だったのです。彼女は必死に逃げるのですが、あとでカバンの中に一枚の招待状が入っているのを見つけます。それは、夏の林間学校が開かれる「夏流城」への招待状だったのです。夏流城は、山の中にある緑色のお城のよう。幾重にも鍵が掛けられていて街の人々から隔離されているようです。そこで、夏流城に集められた六人の少女たちは単純だけれど奇妙なルールを守る以外は自由で長閑な共同生活を送ります。彼女たちがここに集められた理由は何なのか。このお城がこんなにも世間から隔離されているのはどうして。仲間だと信じている少女たちは自分に何を隠しているの。次第に明らかになっていく「夏のお城」の謎とは一体何なのでしょうか。

八月は冷たい城

同じひと夏に、ある少年も夏流城での林間学校に招待されていました。集められた少年たちは4人。彼らは既に夏のお城が存在している意味や自分たちがここにいる理由を知っていましたが、身が危険に晒されるような奇妙な出来事が続き、ただでさえ隔離されたような生活で寂しい気持ちでいるのに、どんどん互いに疑心暗鬼になっていきます。

少年は次第に「もう一人の誰か」の存在を感じるようになり、その魔の手が襲ってくるように感じてとっても神経質になってしまいます。「もう一人の誰か」とは一体誰だったのか。少年が最後に知る「みどりおとこ」の正体とは?

 

身近な人の死を受け入れるためには、自分が区切りをつけるためにも儀式が必要なんだ。この夏流城で過ごす時間は誰のためのものであるのか。まるで無意味なルールの意味って何なのだろう?そんなことを考えさせられました。
恩田陸さんのダークファンタジーの世界観がやっぱり好きで癖になる!謎と切なさに満ちた少女と少年が過ごしたひと夏の物語をぜひご堪能あれ。

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