あらすじ
ロリータファッションに身を包む頭の切れる美少女、アリサは、探偵の両親のもとに生まれた女の子。自らも探偵としての才能を持ち、何でも屋で働くヘタレ三十路男、橘と共に事件を解決していきます。
キャンプ場で遭遇してしまった溺死体の犯人は誰?焼き鳥屋の秘伝のたれを奪った怪盗ウエハースの正体は?東川篤哉さんが贈る凹凸コンビの事件解決冒険譚!
軽快なタッチとユーモアあふれる登場人物たちのやり取りを思う存分楽しんじゃいましょう。短編全4編収録。あなたは、アリサより先に事件を解決できますか?
感想
主人公のユニークな設定
最初、小学生の女の子が探偵という設定に名探偵コナンを連想しました。確かに、頭が切れるけれど、見た目が子供で推理に信憑性がないので、ヘタレ三十路男、橘に推理を展開してもらうという点がすごく似ていました。
しかし、ナイフを持った犯人にドロップキックを決めたり、睡眠薬を家政婦さんに飲ませて眠らせてしまったりとなかなかに破天荒で、そこはコナン君と違いますね…(笑)
巧みなミステリー要素も◎
設定のユニークさで終わらない巧みなミステリー要素も魅力です。
「名探偵、夏休みに浮かれる」では、ささいな違和感や言動が伏線となっていて、アリサはそれを糸口として、見事に推理してみせます。このお話に限りませんが、アリバイトリックが暴かれる瞬間がとても気持ちがいいです。
「名探偵、笑いの神に翻弄される」では、犯人の動機が、よくあることといえるかもしれませんが、人間の感情が入り組んでいて面白かったです。そして、動機だけでなく、その事件を起こす条件が整っている人という観点から考えていったアリサは、小学生とは思えない頭脳をやはり持っているな…と感心してしまいました。
お腹を抱えて笑えるポップなミステリー
東川さんの小説は、「謎解きはディナーのあとで」に代表されるように、くすっと笑える話し手の心境の描写やセルフ突っ込み、文章の節々に溢れるユーモアが魅力だと思います。
最近は、気分が落ち込むことがあって、大好きな綾辻行人さんの館物とか読む気にはなれなかったので、このようなポップなミステリーを選択したのですが、正解でした。
(いや、もちろん、綾辻さんの本、大好きなんです。が、密室殺人事件の不穏な空気感とか、Anotherシリーズの不気味なゾクゾク感とか、落ち込んでいる今は楽しく味わえないというだけで笑)
「探偵少女アリサの事件簿」は、爆笑しながら軽く読めるし、かといってトリックがおざなりになっているわけではなく、アリサのように私には見破れませんでした(笑)
疲れていたって、気分が落ち込んでいたって読める、いや、そんなときにほどお腹を抱えながら呼んでほしい、そんなミステリーです。ぜひ、お手にとってみてください!
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