危険なビーナス|東野圭吾|独身獣医が美女と共に謎解きを。失踪した弟は見つかるのか?

危険なビーナス

あらすじ

ある日、獣医として働く伯郎のもとへ、弟である明人の妻だと名乗る楓という女性から突然、電話がかかってきます。カーリーヘアの髪が美しく、しなやかで肉感のある体が魅力的な彼女は、「明人が失踪してしまったので、行方を探すのを協力してほしい」という旨のことを伯郎に伝えます。弟が心配だったのか、この美しい女性を助けたいと思ったのか、伯郎は弟探しに協力することにします。

2人は明人の父、康治の生まれである「矢神家」が明人の失踪に深くかかわっているはずだと踏み、矢神家の豪邸に訪れたり、入院中の康治のお見舞いに行ったりと積極的に交流し、情報を集めていきます。

すると、矢神家の人々や伯郎の両親、そして康治が抱えていた秘密や思わぬ人間関係が次々と露わになっていきます。やっぱりあの家には、莫大な財産だけではない何かがある。すべての事実は明人の発見に繋がるのだと信じて、楓と伯郎は、一筋縄ではいかない矢神家の意人々を探り続けるのです。

 

まさかまさかの結末は鳥肌モノ。そんな一級品の精巧なミステリーでありながら、楓に翻弄される伯郎を描く恋物語のような部分もあり、エンターテイメントとして、すっごく楽しめちゃいます。

ドラマ版を見たという方もぜひ原作をお手に取ってみてはいかがでしょうか?

感想

真っ直ぐで人間らしい主人公が可愛い

個人的には伯郎のキャラがとても好きでした。すっごく真っ直ぐで分かりやすくて、惚れっぽくて、この話に出てくるような女の人から見たら「全くバカねえ」って言いたくなっちゃうようなかわいらしさを持っています。その真っ直ぐに、好きなものを好きと素直に感じられ、大切な人を大切にできる優しさが素敵だな、と思いました。

矢神家の人々が冷酷で閉ざされた心を持っているように描かれる一方で、主人公である伯郎はかなり良くも悪くも人間らしい部分が描かれていて、その対比も物語の躍動感を際立たせているように思います。

弟の妻である楓にとことん惚れ込んで翻弄されてしまうところがなんとも愛らしく、「それ、真に受けちゃだめよ!」と言いたくなります(笑)男の人が読んだらどんな感想を持つんだろう?気になります。でもなんだかんだいって、楓は、伯郎に頼って正解だったはずです!ここは読んでからのお楽しみです(笑)

弟の妻はただ者じゃない!

楓のキャラクターもとっても魅力的。あっけらかんとした性格に見えるけれど、とっても鋭くて頭の回転が速い。矢神家の人々も含めて、色々な人が「ただ者じゃない」って言いますが、その通りに見えます。何かをずっと隠している。

一体この美女は何を隠しているのか!?財産を狙う腹黒女なのか、それとも純粋に夫との再会を願う新妻なのか、それとも…?最後には驚きが皆さんを待っています。

すべてのピースが最後にハマる

そして、なんと言っても、ピースがかちりかちりとはまっていき、最後に一気に一枚の絵に仕上がる様が楽しい!伯郎が真相に気付いたときの描写が伯郎の鼓動の速さやショックが自分にも伝わるようでした。ミステリー好きもそうじゃない人もみんなゾクゾクするのではないでしょうか?

 

「危険なビーナス」。やっぱり東野圭吾さんの話は、おもしろい!

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